クレタ島の植物③

先に、書きましたがアリウムとチューリップの遺伝資源調査に行ったときの「古い写真」を紹介しています。私はタマネギの品種改良をしていたことから、アリウムの調査収集を依頼されました。
アリウム(ネギ属植物)は、全てに硫黄化合物が含まれ食用としては健康によいことから当時注目されていました。また、観賞用としても欧米を中心に注目されつつありました。最近では、イングリッシュガーデンにはなくてはならない球根植物として脚光を浴びています。
私はクレタ島に自生するアリウムのうち新たに食用になりそうなものや観賞用に適したものを探索することが求められました。
クレタ島は石灰岩などの岩で出来た島なので牛の放牧には適していなくて、主に羊や山羊が全島いたるところに放たれていて、食べられる植物は根こそぎ食べられてしまっていて、崖をよじ登って採集しました。
ベンツのタクシーで山岳地帯にやって来て、毎日3万歩も歩き回りました。
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まず、食用になるのではと注目したのがスブヒルスツムでした。島のいたるところにあって、現地の人は山菜として春先の柔らかい新芽を食用にしていると聴いて採取しました。
アネモネと同じ場所に自生している写真です。
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葉はニラのように柔らかく、花も良く似ていますが、観賞用としては地味なので適さないようです。帰国してから食べてみましたが、ニラの方が美味しかった記憶があります。
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野生種の採取は、最近では自国の遺伝資源保護の点から困難になっており私たちはギリシャとの共同研究として行いました。また、ほとんどが開墾されていたり放牧されていたりして野生種が見つかるのは崖などの羊や山羊でも危ない場所にしかありません。
しかし、放牧が禁止されている遺跡ではあちこちに貴重な遺伝資源が残されていることが多いのです。しかし、残念ながらそこでは勿論採集することは出来ませんので、写真だけ撮ってきました。
クノッソスの宮殿に観光がてら行ったときにいたるところにアリウムが生えていました。
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柱が立っていた穴にスブヒルスツムが必ず生えていたのには驚きました。風が強い島なのでとばされてきたのでしょう。
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葉が固くて三角形をしたタルダンスは、葉が美しく垂れ下がるので観賞用に適しているのではないかと思いました。球根はらっきょうに似ているので食用になるのではと思いましたが、食べないで終わりました。
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大型のコムタツムは、ニンニクに似て花も大きく存在感のあるアリウムです。現地では球根を食用にしていると聞きました。
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すでに観賞用として広く普及しているネアポリタヌムが、クノッソス宮殿の近くの原っぱにいっぱい群生していました。一般のものより花が小さいようなので野生種ではないかと思われました。京極で植えていますが、野生化してすっかり雑草になっています。
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他にも数種類を収集しましたが、結局食用や観賞用として利用されることなく記録として残されています。私はタマネギの原種がまだ発見されていなかったので、原種が存在していると言われている天山山脈に行ってみたかったのですが行けないまま退職となってしまいました。その後、タマネギの原種と思われるものが発見されたと聞いていますがどうなっているんでしょう。
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by kunimayu2008 | 2011-03-29 09:45 | 宿根草 | Comments(0)

退職後に始めた2300坪の庭造り


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